2012年度人工知能学会全国大会オーガナイズドセッション「仕掛学」
2012年度人工知能学会全国大会オーガナイズドセッション「仕掛学」
2012年6月12日(火)〜6月13日(水)のどちらか1日
山口県教育会館、ゆ~あいプラザ山口県社会福祉会館、山口県自治会館
本セッションの目的
ちょっとした仕掛けがちょっとした意識や行動の変化を生み、それが大きな社会的インパクトをもたらすことがあります。「仕掛学」では、そのような社会現象、具体的には人の意識や行動を変えるための「仕掛け」とその「効果」を体系的に明らかにすることを目指す研究テーマです。
本セッションでは、仕掛けに関連する研究成果や事例を共有し、参加者全員で仕掛学について議論を深める場にしたいと考えています。
仕掛学とは
仕掛学は「仕掛け」によって人びとの興味を喚起し、行動を変え、その結果として社会的課題を解決するための機能を実現することを狙っています。
仕掛けは人の行動を変える「触媒」として働きます。仕掛学的アプローチでは、機能は仕掛けそのものによって実現されるのではなく、人の行動によって実現されます。このアプローチには、簡単なメカニズム、低コスト、ターゲット層の広さ、機能の持続性といった大きな利点があります。
ある機能を工学的機構によって実現しようとすると、高度な専門知識が必要になりコストもかかりますが、仕掛けは簡単なメカニズムかつ低コストで実現できます。このことは、一般の人が仕掛けを利用して、自身の課題を解決することを可能にします。また、仕掛けは自発的な行動を誘いだすことが大きな特徴です。人は誰かにコントロールされていることに気づくと行動を変えませんが、行動を変えることが楽しければ繰り返し行動を変えたくなります。仕掛学では後者のプロセスによって行動を変えることを狙っているので、機能が持続することが期待されます。
仕掛学のゴールは、仕掛け事例の因果を形状的かつ心理学的視点から体系化し、仕掛けのデザインの方法論を構築することにあります。
トピック
本セッションでは、形状的デザインや心理的デザインといった分野の研究者を集め、行動を変える仕掛けに関する知見を共有することを狙っています。本セッションで対象とするトピックは以下のとおりです。
- Gizmo Design for behavior change
- Psychological Design for behavior change
- Persuasive Technology for behavior change
- The Fun Theory for behavior change
- Affordance for behavior change
- Nudge for behavior change
- Game Mechanics for behavior change
- Case studies of behavior change
上記以外にも、仕掛学に関連する、もしくは貢献すると考えられる研究発表も歓迎します。
発表形式
口頭発表のみ
招待講演(敬称略)
- 川上浩司(京都大学情報学研究科)
【題目】不便益と仕掛学
【概要】陸路では(船に乗って川を渡らねば)辿り着けないという仕掛けで客を呼ぶ旅館、売れ筋の品は一番奥に置くという仕掛けで客を店中歩かせるショップ、これらは「不便の便益」を探している時に見つけた仕掛けである。ユーザの能動性や気付きを誘発するなど、不便には益がある。
便利なセレクトボタンに対して手動で連続を辿りながらチューンする不便。前者では、日本の放送だと思って聞いていたラジオから韓国語が流れて来る驚きや発見は得られない。キーボードの刻印を無くして敢えて視覚フィードバックを無くす不便は、知覚─行動サイクルからカップリングへと誘う。不便の益を新たなシステムに実装するアイデアの多くは、ユーザに発見や工夫を許し、自己肯定感を醸成させる仕掛けである。この「許す」から「誘う」に転じる仕掛けはないか、不便益研究の側からは、仕掛学に期待するところ、大である。
- 谷雅徳(aka 越前屋俵太;関西大学総合情報学部/仁愛大学コミュニケーション学科)
【題目】『仕掛けない』を『仕掛ける』
【概要】いまから30年前、テレビ業界が漫才ブームで沸き返っていた頃、あえてスタジオでの表現を避けて街にテレビカメラを持ち込み、通りがかりの人に対して即興で「何か」を仕掛けることで笑いを作り出した。その後、動物達に仕掛けて反応見る方法論や、外国人に対して言葉を無視した会話を仕掛ける方法論を次々に開発し笑いを誘発させてきた。そして、最終的には「仕掛ける」こともやめ、ただ出会った人達とただ喋るだけのプログラムを開発し、それでも面白い事が起きるという確証を得た。その番組は、平成5年度の日本民間放送連盟賞において最終選考に残り、「料理の鉄人」を破って晴れて最優秀賞を受賞した。このような経験を通じて、「仕掛けない」という「仕掛け」が無限大の可能性を持つ、という考えに至った。
オーガナイザ(敬称略)
松村真宏(大阪大学大学院経済学研究科)
塩瀬隆之(京都大学総合博物館)
松下光範(関西大学総合情報学部)
平岡敏洋(京都大学大学院情報学研究科)
山根承子(近畿大学経済学部)
発表申し込み
人工知能学会全国大会の受付システムをご参照ください。本セッションは「OS-09 仕掛学」です。原稿の締切やフォーマットは一般論文と同じです。
申込期間:2012年1月24日(火)~ 2月6日(月)午後2時厳守
大会ホームページ
2012年度人工知能学会全国大会(第26回)
プログラム
懇親会
12日の夜に湯田温泉街にて懇親会を開催いたします。参加をご希望の方は山根のツイッターにメンション、もしくは松村
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までご連絡ください。
連絡先
本セッションに関するご質問等ありましたら、松村
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までお気軽にご連絡ください。
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